【課題解決】鉄道車両のアルミ部材の高効率切削が実現
近年、活用が広がるアルミニウム合金。ジュラルミンをはじめとしたアルミニウム合金は、軽量かつ強度を求められる航空宇宙部品や、車両・鉄道の分野で広く採用されていますが、一方でその加工には高い切削技術が求められます。
この記事では鉄道車両の内装施工における、アルミ部材の切削のお困りごとをご紹介します。
内装施工における棒グラインダーの課題
従来鉄道車両の製造では、車体と台座が溶接された後、車両内の「内装施工」と「装備品の製作」の工程に分かれて、同時並行で作業が進められます。
車両内のパネルや窓枠などの部材には、車体軽量化のためアルミニウム合金が多く採用されており、鋳造時のバリトリや溶接後の仕上げには、棒グラインダーが多く使われています。
しかし、棒グラインダーに取り付けて使われるアルミカット用の「超硬ロータリーバー」は、効率よく削れる反面、ビビリや跳ねで部材を傷つけてしまったり、仕上げ精度が悪くなってしまう課題がありました。
また穴を広げるためロータリーバーを挿入すると、バーが弾かれて作業にならず、特に刃部が2点で同時接触すると大きく弾かれてしまい、カッターの欠けやシャンクの曲がりが発生… 加工中の折損は危険が伴うため、作業効率が落ちていました。
📌課題のポイント
- 棒グラインダーによるビビリや跳ねを抑えたい
- 部材への傷を防ぎ、仕上げを精度よく行いたい
ビビリ・跳ねを抑えた切削を「エアーマイクログラインダー」で実現
超硬ロータリーバーのビビリ・跳ねの原因は、カッター径にあわせた適正な回転数が得られていないことと、棒グラインダーの芯ぶれにあります。
棒グラインダーは、もとは荒いバリを削るための工具で、鉄道車両のパネルや天井の仕上げ、窓枠加工などのアルミニウム合金の精密加工には向いておらず、現場ではこれまで、作業者が苦労しながら使いこなしているのが現状でした。
そこで採用されているのが「ストレート型マイクログラインダー」です。
ストレート型マイクログラインダーは、ダブルベアリングで軸を支える、軽量・コンパクトなグラインダー。高速回転で芯ぶれがなく、ビビリや跳ねを抑えながら、まるで機械加工のような精度の高い高効率の切削を実現します。
国内で使われている超硬ロータリーバーにあわせて、シャンク3mm〈GT-MG55SAR〉とシャンク6mm〈GT-MG25S/GT-MG35SAR〉の2種類をラインナップしています。
芯ぶれ精度が高い高効率なグラインダーで、現場の生産性向上におこたえします。
📌解決のポイント
- ビビリや跳ねを抑えた、高効率の切削が実現
- 部材への傷を防ぎ、仕上げ精度が向上
マイクログラインダーの用途と刃形状について
・各種バリ取りに(先丸円筒形)
溶接後の角際のバリトリには、先丸円筒形の超硬ロータリーバーが最適です。先端が半球状になっており、先端Rにあった曲面加工ができます。
・長穴や開口加工に(円筒形)
吹き出し口などの開口には、先端が平らな円筒形の超硬ロータリーバーが最適です。エアードリルで四隅に穴をあけ、外周刃で切削することで穴を広げることができます。
隣の穴とつなげて長穴にする場合は、刃部が2点で同時接触しないように、細い径の超硬ロータリーバーを選定してください。
・平面と直角面の加工に(エンドカット型)
側柱や壁面の見切り板のような細長い平面の加工には、エンドカット型の超硬ロータリーバーが最適です。工具先端にも刃があり、直角面を切削することができます。
アルミニウム合金に適した回転数について(参考データ)
超硬ロータリーバーによる切削は、ワーク材質やカットの種類によって適した回転数が異なります。特にアルミニウム合金の場合、回転数が速すぎると切削熱による刃の欠けや、シャンクの曲がりが発生してしまうため、注意が必要です。
アルミニウム合金に適した回転数は下記の通りです。
超硬ロータリーバー刃径 | ~3mm | ~6mm | ~10mm | ~12mm | ~16mm |
メーカー推奨回転数(r.p.m) | 30,000~90,000 | 15,000〜65,000 | 10,000〜50,000 | 7,000〜35,000 | 6,000〜25,000 |
シャンク3mm | GT-MG55SAR | – | - | – | – |
シャンク6mm | – | GT-MG35SAR | – | – | |
– | – | GT-MG25S |
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