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2023.02.21

【基礎知識】ワイヤーストリッパーの種類と使い方、電線規格について

ワイヤーストリッパーは、配線作業で使われる電線コードの「ビニール被覆」や、電線ケーブルの「ゴム被覆」を剥くための専用工具です。ワイヤーストリッパーを使って芯線を露出させることで、電線コードをキズつけることなく、確実に機器をつなぐことができます。 

何本もの電線(より線)が入ったケーブルの外皮を剥くものは、ケーブルストリッパーとも呼ばれます。

ワイヤーストリッパーの選び方

ワイヤーストリッパーは、必ず電線ケーブルの表記に合ったものを使いましょう。

適切なケーブル外径・内径・厚さに合ったワイヤーストリッパーを使わないと、キズによる芯線の折れや、より線の場合、線の本数が減ってしまい抵抗値が上がり発熱しやすくなるなど、思わぬ事故の原因となります。

電線ケーブルのサイズの表記には、大きく「AWG」「SQ」の2つが採用されています。

AWG表記

AWGは、American Wire Gauge(別名 BS:Brown and Sharpe Wire Gauge)の略で、アメリカの電線規格(UL規格)です。

AWGでは太さを12〜34で表し、数字が大きいほど線が細くなります。

 

日本からアメリカ・カナダに電気製品などを輸出する際は、UL規格・CSA規格で認定された電線ケーブルを使用しなければならない規定があり、その電線はAWGの表記になっています。

(その他の国では、国際単位の採用によりmm・mm²単位を使用しています)

 

SQ表記

SQ(スクエア)は、日本の電線規格(JIS規格)です。

SQでは芯線(より線)の断面積をmm²で表し、mm²(スクエアミリメートル)から「スクエア」と呼ばれています。

AWGとは逆に、数値が大きいほど線が太くなります。

 

 

◎関連記事:AWGとSQの対応表はこちら

AWGとSQの対応表

AWG(アメリカンワイヤーゲージ) SQ(スクエア)
AWG30 0.05sq
AWG28 0.08sq
AWG26 0.12sq
AWG24 0.2sq
AWG22 0.3sq
AWG20  0.5sq
AWG18 0.75sq
AWG16  1.25sq
AWG14  2sq
AWG12 3.5sq
AWG10 5.5sq
AWG8 8sq
AWG6 14sq
AWG4 22sq

ワイヤーストリッパーの種類

 

ワイヤーストリッパーには、被覆の剥き方によってさまざまな種類があります。

ワイヤーストリッパーは、ひとつの工具で対応できる電線ケーブルの太さが決まっているため、用途に合わせた選定が重要です。

ここではベッセル製品のなかから、代表的なワイヤーストリッパーをご紹介します。

ワイヤーストリッパー〈No.3000〉

 

 

1回の操作ですばやく被覆をはぎとることができる、ワイヤーストリッパーです。

テレビ・ラジオや、電気器具、電気工事、自動車の電気回路、電信電話機の配線など、多用途に使うことができます。

使い方

対応サイズ穴に合わせてストリッパーを閉じていくと、まず被覆がカットされます。更にもう少し閉じると、ストリッパーが開き被覆をはぎ取ります。電線ケーブルをセットして、ハンドルを握るだけでストリップ(被覆むき)ができあがります。

ストリップの長さを一定に保てるので、電線ケーブルの数が多くても高い品質を維持することができます。

 

〈対応する電線ケーブル〉

ー 単線 ー

単線(mm) 0.5 1 1.2 1.6 2 2.6 3.2
IV仕上り外径(mm) 0.9 2.6 2.8 3.2 3.6 4.6 5.6
3000A
3000B

 

ー 撚線 ー

撚線(mm² 0.9 1.25 2 3.5 5.5
IV仕上り外径(mm) 2.8 3 3.4 4 5
3000C

 

◎関連製品

ワイヤーストリッパー No.3000A

ワイヤーストリッパー No.3000B

ワイヤーストリッパー No.3000C

 

ワイヤーストリッパー〈No.3500E〉

 

 

さまざまな現場で使いやすい、軽量(100g)コンパクトなハンディタイプのワイヤーストリッパーです。刃部にはダイヤモンド精密砥石研磨がされており、高精度の剥離を実現します。

使い方

刃部に電線ケーブルの太さに応じた丸穴が開いており、適合する電線ケーブルを挿入し、挟み込むことで被覆を切り込みます。そのまま電線を引き抜くことで、芯線を残しながら被覆を剥くことができます。

〈対応する電線ケーブル〉

 

単線(mm) 0.5 0.7 0.8 1 1.3 1.6 2
撚線(mm² 0.2 0.3 0.5 0.8 1.3 2 3.3
AWG 24 22 20 18 16 14 12
3500E-1
3500E-3

 

単線(mm) 0.25 0.3 0.4 0.5 0.7 0.8 1
撚線(mm² 0.05 0.08 0.13 0.2 0.3 0.5 0.8
AWG 30 28 26 24 22 20 18
3500E-2
3500E-4

 

◎関連製品

ワイヤーストリッパー 3500-1

ワイヤーストリッパー 3500-2

ワイヤーストリッパー 3500-3

ワイヤーストリッパー 3500-4

 

◎関連記事

【特集】ベッセルの作業工具へのこだわり〈ワイヤーストリッパー編〉

VA線ストリッパー〈No.3200VA〉

電気系統の配線に使用されている「VA線」を剥くための、ストリッパーです。柔らかく伸びやすいVA線や、被覆が固いエコ電線も軽い力で剥くことができます。

メタルインジェクション製法の精密ブレードを採用し、耐久性があり切れ味がよいのが特徴です。

電気工事士技能試験の推奨モデルです。

使い方

被覆のカットから剥ぎ取りまでを、ハンドルを握るだけでワンアクションで行い、作業時間の短縮に貢献します。

ケーブルの切り込み深さを5段階で調整できるため、電線メーカーによってわずかに異なるケーブル硬さや被覆の厚さにも対応。電線被覆を押さえて、常に芯線が中央になるよう設計されています。

〈対応する電線ケーブル〉

 

対応電線(mm×芯) VVF VVF VVF VVF EM-EEF EM-EEF EM-EEF EM-EEF
1.6×2 1.6×3 2.0×2 2.0×3 1.6×2 1.6×3 2.0×2 2.0×3
3200VA-1

 

◎関連製品

VA線ストリッパー No.3200VA

ケーブルストリッパー〈No.3700K〉

ビニール系丸形電線や、CVケーブルなどに対応したケーブルストリッパーです。

特殊硬鋼線の精密研磨仕上げ刃を採用し、切れ味が持続。独自フォルムの特殊樹脂製グリップで、手になじみやすく疲れにくいのが特徴です。

軽量・コンパクトサイズで、携帯にも便利です。

使い方

 

〈対応する電線ケーブル〉

 

シース外径(mm) 4~16 8~28
3700KS
3700KM

 

◎関連製品

ケーブルストリッパー No.3700KM

ケーブルストリッパー No.3700KS

電線の規格

電線は、電線の材料、構造および加工方法、性能、試験方法などについて、標準規格が定められています。また規模によっては、国際的に広く利用される「国家規格」となっているものもあります。

規格は、国や関係官庁、関係業界、需要家団体、技術・研究機関、学会などにより制定されています。

電線の主な規格について紹介します。

国内規格

JIS(日本工業規格) JIS(Japanese Industrial Standards)

工業標準化に基づいて調査審議され、国により制定された規格

JCS(日本電線工業会規格) JCS(Japanese Cable Makers’ Association Standard)

社団法人日本電線工業会により制定された規格

電力用規格 電力会社で使用する電線の統一規格として、電気事業連合会が制定した規格
NDS(防衛庁規格) NDS(National Defense System)

戦艦などに使用する電線について、防衛庁が規定した規格

 

海外規格

IEC IEC(International Electrotechnical Commission)

国際電気標準会議により制定された規格

日本においては「電気用品技術基準省令第2項」に、低圧のPVC及びゴム絶縁ケーブルが取り入れられています。また翻訳JISとしてJIS化されている規格も多くあります。審議には日本も参加しています。

CENELE CENELE(European Electrotechnical Standardization Committee)

欧州電気標準化委員会により制定された規格

IECとCENELECは、ドレスデン協会によって相互共通承認制度で結びついています。

欧州の独自規格ですが、多くはIECと共通しています。

ASTM ASTM(American Society for Testing and Materials)

米国材料試験協会により制定された規格

米国内における工業材料に関する仕様、および試験方法の標準化を目的としています

BS BS(British Standards Institution)

英国標準協会により制定された規格

電線一般について規定されており、技術及び資料の改良、それらの標準化及び単一化を目的としています

CSA CSA(Canadian Standards Association)

カナダ規格協会により制定された規格

電気製品の使用者に対する人命の保護や、安全保障を目的としています

カナダ、米国などに電気製品を輸出する際には、CSAの認定取得が必要となりますが、国内における受付は「財団法人日本品質保証機構」と「社団法人電線総合技術センター」がおこなっています

VDE VDE(Verband Deutsher Elektrotechniker)

ドイツ電気協会により制定された規格

電気製品に関する規格で、製品保証制度があります

IEEE IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)

米国電気・電子技術者協会により制定された規格

電気設備器具、機械及び電子部品・コンピュータなどについて規定されています

ISO ISO(International Organization for Standardization)

世界130ヶ国の標準化機関がメンバーとして加盟している「国際標準化機構」より制定された規格

電線関係では、裸線(地金)、自動車用電線などの規格が制定されています。

MIL MIL(Military Standard)

米国のDepartment of Defence(国防省)により制定された規格

連邦政府機関で使用する材料、製品、役務などの仕様の統一を目的としています

NEMA NEMA(National Electrical Manufacturers Association)

米国電機製造業者協会により制定された規格

電気製品などの選択及び、鉱ひゅうの手引きとする目的で制定された団体規格で、電線関係では、巻線のNEMA規格が国際的に広く認められています。

NF NF(Norme francaise)

フランス規格協会(Association française de Normalisation)により制定された国家規格

電線一般について規定されています

SSA(SASO) SSA(Saudi Arabian Standards)

サウジアラビア標準化公団により制定された国家規格

すべての規格が一連の番号で統一され、特別な分類はされていません

サウジアラビア王国に電線を輸出する場合には、SASO適合証明書に基づく証明書を取得する必要があります

UL UL(Underwriter’s Laboratolies Incorporated)

アンダーライターズラボラトリーズインクにより制定された規格

電気製品による火災、盗難その他の事故から人命、財産を保護することを目的としています

米国、カナダなどに電気製品を輸出する際には、ULの認定取得が必要