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【特集】ベッセルの作業工具へのこだわり〈ドライバー編〉

私たちベッセルのものづくりの歴史は、手廻しのドライバーからスタートしました。 その開発の原点は「手」、働く人の手となるドライバーだからこそ、その使いやすさにこだわり、製品開発を続けています。 使いやすいドライバーといえば、どのようなものを想像されるでしょうか?近年ではさまざまな機能を持ったドライバーが数多く開発されていますが、その使いやすさを根底で支えているのが、持ち手となるドライバーハンドルです。

私たちベッセルのものづくりの歴史は、手廻しのドライバーからスタートしました。
その開発の原点は「手」、働く人の手となるドライバーだからこそ、その使いやすさにこだわり、製品開発を続けています。
使いやすいドライバーといえば、どのようなものを想像されるでしょうか?近年ではさまざまな機能を持ったドライバーが数多く開発されていますが、その使いやすさを根底で支えているのが、持ち手となるドライバーハンドルです。
この記事では、日々のネジ締め作業を快適にするベッセルのドライバーの特徴と、そのこだわりについてご紹介します。

使いやすさのカギはドライバーハンドル

ドライバーハンドルはドライバーの柄となる重要な部分です。作業者が直接手で触れるため、握った時のフィット感や質感が、グリップ力や締め付け力に大きく影響します。
ドライバーハンドルには、さまざまな材質や形状がありますが、それぞれに適した用途があり、その特徴について知ることが重要です。

〈ベッセルのドライバーへのこだわり〉

  • エルゴノミックデザインで、日々の使いやすさを追求
  • スーパークッションで、フィット感とトルク伝達を追求
  • ノンスリップで、すべりにくさを追求
  • ボールグリップで、安定した締め付けを追求

 

エルゴノミックデザインで、日々の使いやすさを追求

エルゴノミックデザインは、“人間工学”とも訳される工業デザインの設計思想です。「人にとって、いかに使いやすいか?」を追求することで、安全で使いやすい工業製品を実現します。

ドライバーにおけるエルゴノミックデザインは、疲れやストレスを感じずに、だれでも楽に扱えることを目的としています。フィット感を高めるため、手のひらの形を写しとったハンドルデザインがその代表格ですが、手のひらの大きさもさまざまなため、各メーカーが独自のコンセプトにもとづいたハンドルデザインを採用しています。

ベッセルでは、1997年にエルゴノミックデザインを採用した「メガドラ」の発売を開始。すべりにくく手のひらにフィットするフラッグシップドライバーとして、現在では用途に応じたさまざまなメガドラをランナップしています。
メガドラの一番のこだわりは、高度な射出成形技術による「インナーコア(ポリプロピレン)」「硬質樹脂(ポリプロピレン)」「エラストマー樹脂」の3重構造です。
流線形のハンドルデザインでフィット感を高めるとともに、手に当たるエッジ部に「エラストマー樹脂」を採用することで、ネジ締め時の負担を大幅に軽減しています。

エルゴノミックデザインは、決して見た目だけのデザインではありません。
生産ラインから現場作業まで、日々のネジ締めを快適にする生きたデザインなのです。

スーパークッションで、フィット感とトルク伝達を追求


スーパークッションは、作業者の手のひらにあわせてグリップが変形するドライバーハンドルです。エルゴノミックデザインとは逆転の発想で、大きな締め付け力を生み出すことができます。
スーパークッションは、エラストマーグリップ内にゲルを注入する特殊な製造方法のため、現在世界で二社しか製造していません。そのうちの一社がベッセルです。

従来のクッションハンドルは、フィット感は抜群ですが、ネジの締め付け時に力が逃げてしまうため、トルク伝達ロスが発生してしまう課題がありました。そこでこだわったのが、「フィット感」と「トルク伝達」の両立です。
ベッセルでは、ネジ締め時に力が逃げない“ゲルの積層構造”を考案。2008年に、「スーパークッションドライバー」として販売を開始しました。
高弾力のグリップで、ねじった瞬間にピタッと手のひらに密着し、トルク伝達効率を高めることができます。
使う人にあわせた最高のフィット感が、スーパークッションの魅力です。

ノンスリップで、すべりにくさを追求


自動車整備や鉄工所、機械の整備作業には油がつきものです。油まみれの手で作業をすると、ドライバーがすべってしまうだけなく、工具落下や工具との接触で思わぬケガにつながることも。
そういった事故を防止するため、防滑(ぼうかつ)処理を施したノンスリップハンドルが開発されていますが、成形後のハンドルに「セラミックボールを吹き付け表面処理したもの」や「ナイロンなどの繊維を植毛したもの」など各社で工夫されているものの

が多く、ノンスリップ効果は50%前後と高くないのが現状でした。

そこで 2014年ベッセルが開発したのが、木粉を配合したバイオマスプラスチックを用いた「ウッディドライバー」です。
こだわりはなんといっても、そのノンスリップ効果。ハンドル表面の気孔が油を逃がし、木粉と手のひらとの摩擦力で驚異のグリップ力を発揮します。
ノンスリップ効果は97%(3%のロス)と、普段の締め付けと変わりません。世界で最もすべりにくいハンドルとなっています。

ウッディドライバーの木粉には、木の間伐材を使用しているため環境にもやさしく、焼却処分しても有害ガスが発生しません。木の風合いのあるやさしい質感も魅力です。

ボールグリップで、安定した締め付けを追求


ボールグリップは、1930年代に開発された「電工用ドライバー」から進化したドライバーハンドルで、日本独自のデザインです。ボール形状のグリップは、押し付けながらの締め付けに最適で、昔から職人用のドライバーとして愛用されてきました。

ベッセルでは、1980年代はじめからドライバーグリップの「樹脂成形化」をスタート。1984年に、電工用ドライバーをよりスマートにリデザインした「ボールグリップドライバー」の発売を開始しました。

ボールグリップドライバーのこだわりは、なんといっても電工用ドライバーから受け継いだボール形状です。
一般的にプラスドライバーは、刃先がテーパー状になっているため、押す力と回す力のバランスが悪いとカムアウト(刃先がネジから抜け出す現象)が発生し、ネジをなめてしまうことがありました。そのためドライバーは、押す力:7、回す力:3で締め付けるのが基本とされています。
一方、ボールグリップドライバーは、ボール形状のグリップによって、押す力:7、回す力:3の安定した締め付けを実現。押す力が一定のため、脚立に立っての作業や高所作業も安全に行うことができます。

木ネジの締め付け試験では、通常はネジが木材に入り込むにつれて押す力が増えますが、ボールグリップではほとんど変わらない結果となりました。

すべてのこだわりは使う人のため

ベッセルでは1950年代から射出成形機を導入し、インサート成形によるドライバーの製造を行いながら、自社の成形技術を高めてきました。その積み重ねが、現在のドライバー開発につながっています。
お陰さまで2021年には、プロに広く愛用されるドライバーとして「ボールグリップドライバー」が、ロングライフデザイン賞を受賞しました。
使う人あってこそのこだわり。今後も現場を支える工具メーカーとして、ドライバーのスタンダードを目指し、さらなる使いやすさを追求してまいります。