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2022.06.02
【基礎知識】ドライバーの種類とサイズ、用途別ドライバーについて
ドライバー(英:Screwdriver)は、小ネジ・木ネジ・タッピングネジの締め付けや、取り外しに使われる定番の工具です。生産現場からDIYまで幅広く使われていますが、ネジを確実に回すためには、ドライバーの種類やサイズについて理解を深め、適切なドライバーを選定することが重要です。
ドライバーの分類
ドライバーの分類(JIS規格※)には、下記があげられます。
結合方法による分類
磁力による分類
ネジり強さによる分類(マイナスドライバー)
※JIS規格の詳細については、下記をご参照ください。
マイナスドライバー:すりわり付きネジ用(JIS B 4609:1998)
プラスドライバー :十字ネジ回し(JIS B 4633:1998)
結合方法による分類
ドライバーは、本体とグリップとの結合方法によって「普通形」と「貫通形」に分類されます。
普通形(非貫通形) | 金属軸がグリップの途中まで入って固定されています。 生産現場でよく使われるドライバーは、普通形が一般的です。 |
貫通形 | 金属軸がグリップの中心を通って末端まで出ています。 ハンマーで尻部を叩きショックを与えることで、強く締まったネジやさびついて固着したネジを緩めることができます。 |
磁力による分類
ドライバーは、金属軸の磁力の有無によって「磁力あり」と「磁力なし」に分類されます。
ネジが落下しないように磁気を帯びさせたものは、「マグネット入り」や「磁気入り」「MG」といった表記があります。
ネジり強さによる分類(マイナスドライバー)
マイナスドライバーの場合、ネジりの強さによって「普通級(N)」「強力級(H)」に分類されます。
ドライバーの刃先の種類
ドライバーの刃先は、プラス(十字)やマイナス(一文字)が一般的です。
プラスネジの場合は「プラスドライバー」、マイナスネジの場合には「マイナスドライバー」が使われます。
プラスドライバー
ネジ頭の溝(リセス)が十字形になった「プラスネジ」を回すドライバーです。
ネジ溝とドライバーの刃先がかみ合いやすく、大量生産でも効率よくネジ締めを行うことができます。
さまざまな製品の取り付けに広く使用されています
マイナスドライバー
ネジ頭に一文字に溝が切られた「マイナスネジ」を回すドライバーです。
マイナスネジはプラスネジよりも歴史が古く、ネジ溝に汚れが溜まりにくいため、メンテナンス性が高いことが特徴です。
最近はあまり見かけなくなりましたが、昔は電気器具によく使用されていました。
その他の刃先の種類
ドライバーの刃先にはプラス/マイナス以外にも「ソケットドライバー」や「ヘックスドライバー」など、さまざまな種類があります。
ネジに合わないドライバーを使うと、工具の破損や思わぬケガにつながるため厳禁です。用途に合わせたドライバーの選定が必要です。
ドライバーの刃先 | 対応するネジ | 特徴・用途 |
ソケットドライバー | 六角ボルト・ナット | 機械装置や組立、機械整備 |
ヘックスドライバー | 六角穴付きボルト(ヘキサゴン) | 機械装置や組立、機械整備 |
スクエアドライバー | 四角ネジ(ロバートソン) | 筋交い金物の組み付けや建築関連 |
トルクスドライバー | 六角星型ネジ(トルクス®/ヘックスローブ/ヘクスロビュラ) | PCやOA機器、スマートフォンなどの精密機械 |
ポジドライブドライバー | ポジドライブネジ | 欧州製のスポーツ用品や組立家具など |
スパドライブドライバー | スパドライブ | ポジドライブよりもさらにカムアウトを起こしにくい |
その他専用ドライバー | ペンタローブ、ラインヘッド(LHS®)、マイクロスティックス、トライウイング(3枚羽根)など | 産業機械や建築関連のいたずら防止目的として |
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ドライバーのサイズ
ネジを正確かつ確実に締め付けるためには、ネジのサイズにあったドライバーを使うことが重要です。
多少サイズが違っていても回せてしまいますが、ネジをなめてしまったり、手元がすべってケガにつながることもあるため注意が必要です。ネジの頭部の内側に刃先が収まるサイズを選びましょう。
プラスドライバーは、刃先がテーパー(傾斜)になっているため、押す力と回す力のバランスが悪いと、刃先がネジから抜け出す「カムアウト」が発生し、ネジがなめてしまいます。そのためドライバーは、押す力:7、回す力:3で締め付けるのが基本とされています。
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プラスドライバーのサイズの見方
プラスドライバーのサイズは、一般的に1番〜4番までの番号で呼びます。
プラスドライバーの長さは、マイナスドライバーと同様に軸のつけ根から先端までの長さで表わします。
JIS規格では、これら1番〜4番までのものを「H形(フィリップス系)」と呼び、他にも0番に相当する「S形(スペシャル)」が規定されています。S形はカメラやめがね、精密機器などに使われる呼び径2mm以下の小ネジに使用されます。
なお欧米では、H形・S形に加え、十字溝の対角線上にさらに小さな刻みが入った「Z形(ポジドライブ)」も使用されています。
[表]呼び番号と軸の長さ、ネジ径との関係(単位:mm)
種類 | H形 | S形 | |||
呼び | 1番 | 2番 | 3番 | 4番 | 0番 |
軸長 | 75 | 100 | 150 | 200 | 75 |
軸径 | 5 | 6 | 8 | 9 | 3または4 |
小ネジの呼び径 | 〜2.9 | 3〜5 | 5.5〜7 | 7.5〜 | 〜2 |
マイナスドライバーのサイズの見方(h3)
マイナスドライバーの寸法は、軸のつけ根から先端までの長さで呼びます。(さらに先端部の刃幅を組み合わせて呼ぶこともあります)
この長さと刃幅はJIS規格で決まっているため、ネジによく合ったものを選ぶことが大切です。
用途によっては、軸の長さをより長くしたものや、普通よりも短くしたものもあります。それらを間違えないように、長さだけでなく先端部の刃幅を組み合わせた呼び方(例:4.5×50mm、6×100mmなど)があります。
[表]長さと刃幅の関係(単位:mm)
軸長 | 50 | 75 | 100 | 125 | 150 | 200 | 250 | 300 |
軸径(強力級) | 5 | 5.5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 9 | 9 |
軸径(普通級) | 5 | 5 | 5.5 | 6 | 7 | 8 | 8 | 8 |
刃幅 | 4.5 | 5.5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 10 |
刃厚 | 0.6 | 0.7 | 0.8 | 0.9 | 1 | 1.1 | 1.2 | 1.2 |
例えば、長さ100mmのマイナスドライバーであれば、先端部の刃幅は6mmとなります。
ドライバーの材質
〈軸の材質〉
ドライバーの軸の材質には、「硬鋼線材(炭素Cの含有量が0.45〜0.65%)」や、合金鋼が使われています。合金鋼は鋼(はがね)に「クロームバナジューム」などの合金を相当量加えた材質で、高い耐摩耗性や耐衝撃性を発揮します。
また、軸の先端や全身には熱処理(焼入れ・焼戻し)がされており、その硬さはロックウェルCスケール硬さの52以上が標準となっています。
〈軸の表面処理〉
ドライバーの軸の表面処理には、クロームメッキ(強靭なメッキ層を持ち光沢が美しい)、黒染(四三化鉄被膜による防錆処理)や、精度が高く耐久性に優れた「ブラックポイント®」加工などがあります。
(ドライバーの刃先は、寸法精度を高めるためメッキを施さないことが多いです)
〈ドライバーハンドルの材質〉
ドライバーハンドルの材質は、従来木製のものがほとんどでしたが、最近は見た目にもきれいな「セルロースアセテート」や「ポリプロピレン」などの樹脂製が普及しています。
また、樹脂と軟質樹脂を組み合わせたドライバーハンドルは握り心地もよく、高いグリップ力と締め付け力を発揮します。
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用途に応じたドライバーの種類
ドライバーには刃先の種類だけでなく、用途や機能に応じたさまざまな種類があります。
ラチェット機構付きドライバー
インパクト式ドライバー
差替ドライバー
精密ドライバー
スタビードライバー
絶縁ドライバー
検電ドライバー
ラチェット機構付きドライバー
ラチェット機構によって、右・固定・左の3通りに使える便利なドライバーです。
切り替えスイッチを「右回し」に合わせると左方向が空回りし、「左回し」にすれば右方向が空回りします。繰り返し手首を動かすだけで、ドライバーハンドルをいちいち持ちかえる必要がなく、スピーディにネジを締めることができます。
またラチェット先端を指先で回せば、刃先だけを早回しすることができ、ネジの仮締めがしやすくなっています。
インパクト式ドライバー
通常のドライバーでは緩めることのできない、「溝のすり減ったネジ」や「さびついて固まったネジ」を緩める時に使用します。
ネジを回しながらドライバーハンドルの尻部をハンマーで叩くことで衝撃が回転力に変わり、ネジを緩めることができます。
刃先は、ネジに合った大きさのものを差し替えて使うようになっており、ソケットも使用できるように差込角(四角凸部)が付いているものもあります。
差替ドライバー
ドライバーハンドルと刃先(軸)が別になったドライバーで、ドライバーハンドル先端に任意の刃先(軸)を差し込んで使います。
差し替え軸が4〜8本ぐらいついており、ちょっとしたネジ締めや持ち歩きに便利です。
精密ドライバー
カメラやめがね、精密機器などによく使われている、小径ネジを回すドライバーです。複雑な箇所にも使えるように軸は細くなっています。また、ドライバーハンドルの末端が凹形や凸形になっており、指先で押しつけて使うことができます。
スタビードライバー
通常のドライバーが入らない奥まった箇所や、スキマのネジ締めに便利な、小型で短いドライバーです。
狭い場所でも、ドライバーをネジに対して垂直に差し込むことができます。
絶縁ドライバー
ドライバーハンドルと軸が、特別な樹脂で絶縁されたドライバーです(海外規格)。
電気のショート事故や感電を防止するために作られたドライバーで、電気工事にも安心して使えるようになっています。
ドライバーには、何ボルトの電圧に耐えられるかが表示されており、使用時には、絶縁手袋などの絶縁保護具を併用します。
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検電ドライバー
電気配線の通電チェックや、電気回路の導通テストができる、低圧用(250ボルト程度まで)のドライバーです。電気が流れると、ドライバーの中のネオン管が点灯する仕組みになっています。
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