エアーツール
2022.12.28
【基礎知識】エアーツールの特長と代表的なエアツールについて
目次
エアーツール
エアーツールはツールは、圧縮空気を動力源とした各種動力工具の総称です。
エアーの力を利用したハンドツールは作業効率が高く、エア源ひとつで大きなエネルギーを得ることができるため、DIYをはじめ、製造業の生産ラインから自動車の整備工場まで、数多くのものづくりの現場で使われています。
エアーツールの特長とは
エアーツールはエアーを動力として利用した手持ち工具のひとつで、電動工具と並んでよく使われる代表的なパワーツールです。
電気を使う電動工具に比べて小型・軽量なため、生産ラインでの長時間の使用や、取り回しが必要とされる現場での作業に最適です。また電動工具に比べて構造がシンプルで壊れにくく、メンテナンスも容易です。
メリット〈電動工具との比較〉
- 小型で軽量(同等能力の電動工具との比較)
- 過負荷に強く、モータの焼きつきなどがない
- 高速回転で、打撃のパワーを得やすい
- 感電やスパークによる引火の危険が少ない
- 耐水性が高い(条件によっては水中での利用も可能)
- 耐久性・メンテナンス性が高い
- 電気を使わない*ため、引火の危険性のある雰囲気(化学プラントや可燃性危険物を扱う工場など)での使用や、感電の危険のある水場での作業に最適。※動力源であるコンプレッサーの駆動には電力が必要です
デメリット
- 使用時の「騒音(エア排気音)」が大きい(環境によっては問題となる場合がある)
- 導入前には騒音値や設置場所の確認が必要(動力源となるエアコンプレッサーも、駆動時は大きな音がするため)
- 使用範囲に制限が出る(バッテリー搭載のコードレス電動工具と比べた場合、エア配線の取り回しが必要なため)
エアーツールの種類について
エアーツールには、エアの回転力や推進力、膨張力を利用したさまざまな工具があります。ボルトの着脱や研磨・切断まで、製造現場でエアーツールはよく使われています。
- エアーモーターの回転力を利用したエアーツール
エアーインパクトレンチ、エアーラチェットレンチ、エアードライバー、エアーグラインダー、エアーサンダー、エアードリル
- エアーピストンの推進力を利用したエアーツール
エアーニッパー、エアーソー、エアーニードルスケーラー、エアータッカー(ステープル打ち)、エアーネイラー(くぎ打ち)エアーチゼル/エアーチッパー(タガネ)、エアーハンマー(削岩)エアーリベッター(リベット止め)、エアーノッカー(付着粉体払い落し)
- エアー圧力の膨張力を利用したエアーツール
エアーダスター、スプレーガン(塗装ガン)、エアーブラスト(サンドブラスト研磨)
代表的なエアーツール
エアーインパクトレンチ
GT-P8II
ボルトナットの締め・緩め作業に使われるエアーツールです。通常のソケットレンチに比べて締め付けトルクが大きく、自動車ホイールのボルト着脱にも使われます。内部構造によって、シングルハンマー/ダブルハンマー/ツインハンマー/オイルパルスなどがあります。
エアーインパクトレンチによる課題解決例
エアーラチェットレンチ
GT-R10
ボルトナットの締め・緩め作業に使われるエアーツールです。エアーインパクトレンチよりも小型で、小径のボルトや狭い隙間でのボルト着脱作業に最適です。
エアーラチェットレンチによる課題解決例
エアードライバー
GT-H4R
小ねじ(M6以下)の締め・緩め作業に使われるエアーツールです。電動のドライバーに比べて軽量で、生産ラインの流れ作業に最適です。打撃式/減速式/トルクコントロール式があります。
エアードライバーによる課題解決例
エアーグラインダー
GT-DG50
金属・木材の切断や、研磨作業に使われるエアーツールです。電動のグラインダーに比べてコンパクトで、奥まった箇所や狭い箇所の作業に最適です。金属のバリ取りや面取り、溶接後のスラグ・スパッタの除去にも使われます。
エアーサンダー
GT-DS50B
金属や木材の研磨作業に使われるエアーツールです。電動のサンダーに比べてコンパクトで、通常の工具では届かない箇所の仕上げに最適です。
エアーサンダーによる課題解決例
エアーニッパー
GT-N20
樹脂成形品や金属線材の切断作業に使われるエアーツールです。主にロボットや自動機、射出成形機に取り付けて使用されます。
エアーニッパーによる課題解決例
エアードリル
GT-D100-15
金属や木材の穴あけに使われるエアーツールです。電動のドリルに比べてコンパクトで、狭い箇所の穴あけや連続作業に最適です。
エアーソー
GT-AS10
狭い所の切断作業に使われるエアーツールです。自動車の板金・修理や、リサイクル工場の家電の解体などに最適です。
エアツールに欠かせないエアコンプレッサー
エアツールの使用には、動力源となるエアを生成する「エアコンプレッサー」が欠かせません。エアコンプレッサーの容量は、エア配管の長さや使用するエアツールの台数によって不足することもあるため、余裕を持った選定が重要です。
エアーコンプレッサーの選定についての詳細はこちら
エアツールに関する規格
エアツールは、使用に際して「騒音」と「振動」が問題となる場合があります。騒音・振動は、健康障害や労災の原因になることもあるため、厚生労働省の各種ガイドラインに沿って予防対策を講じる必要があります。
エアツールの騒音について
工場や現場作業では、大きな音にさらされ続けた結果、難聴(騒音性難聴)になってしまう危険性があります。騒音から耳を守るためには、騒音値に基づいた対策が必要です。
〈騒音値の測定方法〉
コンクリートブロック(重さ400kg以上)にブレーキ装置を取り付け、加速度ピックアップを取り付けたエアーツールでブレーキ装置を打撃し、騒音値を測定します。
騒音源(エアーツール)は地上より1mのところに置き、水平に1m離れた位置の円周を4等分した位置と音源より真上の計5箇所で測定します。
騒音測定の規格と表記
〈騒音の規格〉
IS0 15744 | Hand-held non-electric power tools – Noise measurement code Engineering method (grade 2) |
JIS Z 8733 | 音響、音圧法による騒音源の音響パワーレベルの測定方法一反射面上の準自由音場における実用測定方法 |
〈騒音の表記〉
音の大きさ | 音圧をレベル(単位はdB・デシベル)で表示します |
A特性 | 人間の聴覚が周波数によって異なる性質を考慮し、補正をおこなったものです |
LpA (A特性音圧レベル-時間平均) |
騒音源から放射された音の一定時間の平均的な大きさ ツールから1mの距離・5箇所で測定します |
LwA (A特性音響パワーレベル) |
騒音源から放射される音のエネルギーの大きさ 音圧レベルは測定位置や環境条件によって値は変化しますが、こちらは騒音源本来の基準量となるものです |