ツールアーム

2022.06.07

【基礎知識】ツールアームについて

ツールアームとは

手腕のように自在に動くツールアーム。ネジ締め時の衝撃を吸収し、手首の負担を軽減します。また垂直&水平を保って移動するので、ネジ締め精度がアップします。生産ラインやセル作業台などで生産性や作業環境の改善につながります。

利点

回転反力の低減

①回転反力の低減
>握っている手にかかる「動力ツールの反動」を抑えます。

 

 

重量負荷の低減

②重量負荷の低減
>ツールの重量による「握力や腕力の疲労」を軽減します。

 

 

③締付の安定性向上締付の精度向上
>まっすぐにネジ締めができ、打込みミスを低減します。

 

 

④締付の精度向上締付の安定性向上
>均一の締め付け動作ができ、バラつきを低減します。

 

 

 


分類と特長

①ダブルリンクアーム型(二本のアームをリンク構造でつないでいます)

ダブルリンク型

構造:二本のアームをリンク構造で連結することで先端部分の平行を保ち、アーム間をつないだスプリングでツール重量をバランスさせる構造。

特長:ツールを垂直に固定するため、締付制度が安定します。
アームの稼働範囲が広いため、設置場所を自由に選べます。
左右移動の多い作業でもツール操作がしやすい旋回式(DRタイプ)
反動トルクの大きなタッピングネジ作業に適している固定式(Dタイプ)

利点:アームの移動範囲が広く、自由度が高いです。ツールを平行に移動でき、締付制度が安定します。量負荷を軽減するバランサー効果があります。

欠点:ツールが軽いとスプリングの引戻し力で注意しないと斜めに降りる。

注意:旋回ドライバーホルダー「DRタイプ」をタッピング作業に使用すると大きな反動が発生します。固定ドライバーホルダー「Dタイプ」をお勧めします。


②リニア+ツールバランサー型(上下スライド式)

リニア型

構造:ツールバランサーによりアームとネジ締めドライバー全体の重量を軽減させています。アルミ部品を多用し軽量化を図ると共に上下スライド部には、リニアボールベアリング(滑り軸受け)を内蔵しています。

特長:水平アーム長さの調節やアーム傾斜角度(0°/22.5°/45°)を変更することが可能です。ネジ締めドライバーの押し付け荷重が大幅に軽減され、安定した垂直動作がおこなえます。
作業環境に合わせて、垂直方向と垂直方向の可動範囲を変更することが可能です。
セル生産台などスペースの限られる作業環境に最適です。ネジの傾きによる作業ロスを防止して、安定したネジ締めがおこなえます。

利点:垂直動作が安定、締め付け精度が向上します。
どの移動範囲内でも垂直に動かせます。
ツールバランサーにより、アーム全体(動力ツール含む)の重量が軽減されるので動力ツールの押し付け荷重を軽減できます。

欠点:レバー式ツールではレバー位置が固定され操作しにくい場合があります。


③リンクアーム型(水平アームとスプリングつきアームを組み合わせています)

リンクアーム

構造:平行四辺形のリンク構造をもつアーム体で強力な複数のバネにより荷重を常に上昇方向に作用させています。アーム体とスプリングを一体構造とすることでツールバランサーが不要で、広い可動範囲をもつ小型のツールアームです。

特長:取り付けられたネジ締めドライバーの移動に対して、どの位置でも同じ姿勢・同じ垂直状態や水平状態、同じ角度や向きで移動することが可能です。
ラインやセル台設置など幅広い作業環境にお勧め。

利点:ダブルリンク型に比べ、狭い範囲や小さなワークに適しています。スプリング付きアームが1本なので動きがシンプル。操作が軽くなり垂直移動しやすい。

欠点:スプリングの付いていない水平アームがフリーに動くので作業時に注意が必要。


④簡易スタンド型

スタンド型

構造:コストを極力抑えた簡易型構造設計です。動力ツールの反動負荷を軽減させます。ツールバランサーを併用することでネジ締めドライバーの重量が軽減されます。

特長:作業台に取り付けが可能なスタンド式です。ネジ締めドライバー  の取り回しが非常に楽で、高効率のネジ締め作業がおこなえます。横締め、斜締め作業も可能です。

利点:動力ツールの反動負荷を軽減。簡単構造で低価格。ツールを自由な方向に動かせます。

欠点:動力ツールの重量軽減には、ツールバランサーの併用が必要。


⑤テレスコープ型(カーボンパイプが伸縮)

テレスコープ型

構造:軽量で強度のあるカーボンファイバーのパイプを使用した、伸縮在のテレスコープ型構造です。ユニバーサルジョイントにより、上下左右に動かすことができます。ツールバランサーを併用することでネジ締めドライバーの重量が軽減されます。

特長:ネジ締めドライバーの取り回しが非常に楽で、高効率のネジ締め作業がおこなえます。セル生産台やラインの壁部に取り付けることで自由な角度でかつ手早い動作がおこなえます。ネジ締め本数の多いワークや横締め、斜締め作業にもお勧めします。

利点:狭い作業台上でコンパクトに使用できる。アームがカーボン製で強度があり軽量、負荷なくスムーズに可動。天井や壁への設置もできる。締め付け方向が自由。

欠点:動力ツールの重量軽減には、ツールバランサーの併用が必要。レバー式ツールではレバー位置が固定され操作しにくい場合がある。


HFB-

ハンドフリーアーム No.HFB-300-1

・テーブルに取りつける取付金具(ベース)付き。
・ツールを垂直/前後に平行移動可能。
・主柱:鉄パイプ、クロームメッキ仕上げ(Φ20㎜×500㎜)
・ブッシュ:樹脂
・アーム:アルミ角材(前アーム2+元アーム2)
・スプリング(前アーム2+元アーム2)
・金具:鉄・塗装仕上げ、厚み2.3㎜
※パイプや金具など部材の強度アップを図ったツール荷重1kg前後専用機種。
※取り付けられたネジ締めドライバーを垂直・水平/同じ角度で移動できる。
※ツール取り付け部は別売。ご使用のツールの合わせてアタッチメントをお選びください。

HFC-

ハンドフリーアーム No.HFC1-300DR

・テーブルに取りつける取付金具(ベース)付き。
・ツールを垂直/前後に平行移動可能。
・主柱:鉄パイプ、クロームメッキ仕上げ(Φ19㎜×400㎜)
・ブッシュ:樹脂
・アーム:アルミ角材(前アーム2+元アーム2)
・スプリング(前アーム2+元アーム2)
・金具:鉄・塗装仕上げ、厚み2.3㎜
※パイプや金具など部材の省コスト化を図ったツール荷重1kg前後専用機種。
※取り付けられたネジ締めドライバーを垂直・水平/同じ角度で移動できる。
※ツール部分が旋回するので、移動の多い作業でもツールを持ち替えずに操作できる。

KCC-

ハンドフリーアーム No.HFKCC-3-1DR

・テーブルに取りつける取付金具(ベース)付き。上付きに変更可能。
・ツールを垂直/前後に平行移動可能。前スプリングがなく操作しやすい。
・塗装なし、半組立品
・支柱:鉄パイプ・クロームメッキ仕上げ(Φ19㎜×600㎜)
・ブッシュ:樹脂
・アーム:アルミ(前1+元1)・スプリング(元1)
・金具:鉄・ニッケルメッキ仕上げ、厚み2.3㎜
※HFSやHFCに比べて狭い範囲や小さなワークの作業に適している。
※パイプや金具などの部材の省コストを図ったツール荷重1kgまでの機種。
※メッキ部品を使用し、塗装剥がれを嫌う電子分野向けに最適化。

HFAC-

ハンドフリーアーム No.HFAC-3-1DR

・テーブルに取りつける取付金具(ベース)付き。上付きに変更可能。
・水平アーム付きで広範囲動作。
・ツールを垂直/前後に平行移動可能。
・半組立品 ユーザーにて、スプリング取り付け
・支柱:鉄パイプ・クロームメッキ仕上げ (Φ19㎜×660㎜)
・ブッシュ:樹脂
・アーム:鉄角パイプ(水平1)+アルミ(前1)
・スプリング:(前1)
・金具:鉄・塗装仕上げ、厚み2.3㎜
※スプリングを減らし、軽く安定して上下に動く。
※ツール荷重1kgまでの機種。
※支柱のそばまでツールが自由に動きますので、コンパクトな作業スペースで作業できる。

VAB-5

垂直アーム No.VAB-5

・アームが折りたため、操作範囲が広く作業台を省スペースに使用出来る。
・取り付けられた電動ドライバーを垂直に操作できるので、ネジの傾きによるかじりを防止。
※左右に広い範囲で使用すると、ツール操作しにくい場合があります。

VTS-5/950

伸縮アーム No.VTS-5/950

・ツールホルダーとアームが自在に動くので、横打ちや傾いたワークに面にも対応できる。
・アームはカーボンファイバー製で軽量のため、操作がしやすく位置や角度の調整がスムーズにおこなえる。
※電動ドライバーの重量負荷軽減にはツールバランサー(市販)を併用してください。
※左右に広い範囲で使用すると、ツール操作しにくい場合があります。

VRS-5

反動抑制スタンド No.VRS-5

高トルク機種(VE-5000/6000)での着座が抑制できる簡易型アーム。
・ツールホルダーとアームが自在に動くので、横打ちや傾いたワーク面にも対応できる。
※電動ドライバーの重量負荷軽減には、ツールバランサー(市販品)を併用してください。


その他【ツールバランサーとは】ツールバランサー

電動ドライバー・エアドライバーなどの軽量工具を吊り下げる工具。
工具の持ち替え、保持する際の疲労を減少し、作業効率を向上させます。
また工具を宙吊りにし紛失や散らかりをなくします。